RTX SparkとDGX Sparkは、どちらもNVIDIAのGrace CPUとBlackwell GPU、共有メモリを使う小型のAI向けコンピューターです。両製品はOS、筐体、ネットワーク機能、想定する作業が異なります。Windowsで普段の作業とAIを一台にまとめたいのか、机上でAI開発を継続したいのかを基準に、公式仕様を比べます。
RTX SparkとDGX Sparkの製品構成
RTX Sparkの公式仕様では、Windows 11を搭載するノートPCと小型デスクトップが示されています。ノート向けN1Xには5120 GPUコア・18 CPUコアと6144 GPUコア・20 CPUコアの二つの構成があり、TDPは45~80Wです。据え置き向けRTX Sparkは6144 GPUコア・20 CPUコア、TDP 140Wの構成です。
DGX Sparkの公式仕様では、GB10 Grace Blackwellスーパーチップ、20コアArm CPU、128GBの統合システムメモリ、DGX OSを採用します。製品サイズは150×150×50.5mm、電源ユニットは240W、GB10チップのTDPは140Wです。DGX Sparkは机に置いてAIワークロードを動かすシステムです。
| 項目 | RTX Sparkノート | RTX Spark小型PC | DGX Spark |
|---|---|---|---|
| OS | Windows 11 | Windows 11 | NVIDIA DGX OS |
| CPU・GPU | N1Xの2構成 | 6144 GPUコア・20 CPUコア | GB10・20 CPUコア |
| 公称TDP | 45~80W | 140W | GB10チップ140W |
| メモリ | 最大128GB | 最大128GB | 128GB、64GB構成も追加予定 |
| 主な使い方 | 作業、制作、ゲーム、AI | 机上のWindows PCとAI | AI開発、推論、複数台接続 |
公称TDPは比較する対象に注意が必要です。RTX Sparkはノート向けとデスクトップ向けのN1X、DGX SparkはGB10チップに対する値です。公称TDPは各チップの値で、PC全体の消費電力とは異なります。
OSとソフトウェアの違い
RTX Sparkの中心はWindowsの主力PCとして使える点です。Microsoftの発表は、ローカルAIだけでなく、制作、ゲーム、開発、Copilotなどの日常的なWindows作業を同じ端末で扱う構想を示しました。Arm版Windowsで動くゲームやアプリの対応範囲は、タイトルとソフトごとに確認できます。
DGX SparkはNVIDIAのDGX OSとAIソフトウェアを備えます。NVIDIAはOllama、vLLM、PyTorchなどのランタイムを利用した開発や推論を紹介しています。DGX SparkをAI処理の専用機として置き、普段のノートPCからアクセスする使い方が自然です。Windowsのデスクトップアプリをそのまま主力にするならRTX Spark、Linux系の開発基盤を中心にするならDGX Sparkが候補になります。
メモリと2台接続の違い
RTX Sparkノートは上位N1Xなら最大128GB、下位N1Xなら最大64GBのユニファイドメモリに対応します。DGX Sparkの製品仕様には128GB構成があり、NVIDIAは64GB版を10月23日から提供すると発表しました。64GBという数字が同じでも、製品のOSと搭載チップ、用途は異なります。
DGX SparkにはConnectX-7 NICが搭載されます。NVIDIAは2台を直接接続し、NVIDIA Sync Cluster AssistantでAIワークロードを分散させる方法を案内しています。64GB版2台なら合計128GBのメモリを使う構成です。分散処理には通信とソフト側の対応が関係するため、単一の128GB搭載機と常に同じ挙動になるわけではありません。RTX Sparkの公式仕様には、DGX Sparkと同じConnectX-7による2台構成は掲載されていません。
DGX Sparkの仕様表にあるメモリ帯域は273GB/秒です。RTX Sparkの開発者向け資料には上位N1Xの最大300GB/秒が示されています。両者の帯域値は異なりますが、モデルの推論速度を帯域差だけで決めることはできません。チップの電力設定、モデル形式、ソフトウェアの実装も結果に影響します。
選び方とまとめ
外出先でWindowsアプリを使い、必要に応じてCUDAやローカルAIも動かしたいなら、RTX Sparkノートが目的に合います。机で長時間AIエージェントや推論サービスを回し、ConnectX-7で複数台へ拡張するならDGX Sparkの構成が明確です。Windowsの机上機がよければ、RTX Spark小型デスクトップやSurface RTX Spark Dev Boxも選べます。
価格を比較する場合は、メモリ容量と販売地域を揃えます。日本のSurface Laptop Ultraは税込51万3480円からですが、最安は24GBのノートです。DGX Sparkの64GB版は米国で4999ドルからの発表で、国内Surfaceの税込価格と単純な為替換算では比較できません。SurfaceのノートとDev Boxの比較も見て、OSと据え置き・携帯のどちらを優先するかから選んでください。
