Intel Arc Pro B50をBlender用に選ぶ理由は、16GBのVRAMと70Wの低電力です。一方、完成画像を待つ時間はGPUの演算力とメモリー帯域にも左右されます。Cyclesで十分な速度が出るのか、独立した2種類の実測から見ていきます。
Blender Cyclesの実測結果
Puget SystemsはBlender 4.5.0のGPUベンチマークで、Arc Pro B50に1556、NVIDIA RTX A1000に1293、前世代Arc Pro A50に662というスコアを記録しました。同じテスト条件ではB50がA1000を約20%上回り、A50の約2.35倍です。Puget SystemsのPCはRyzen 9 9950X3D、Windows 11 Pro、Intelドライバー101.6979を使用しています。
StorageReviewのBlender Benchmarkは、シーン別に毎分サンプル数を掲載しました。Blender 4.5.0ではMonsterが738.16、Junkshopが405.23、Classroomが414.62サンプル/分です。同一レビュー内のBlender 4.3.0ではそれぞれ632.94、293.15、329.82でした。アプリの版によっても結果が動くため、古いレビューの値を今の環境へそのまま移すのは適切ではありません。
| Blender 4.5のテスト | B50の結果 | 出典 |
|---|---|---|
| Puget Systems総合 | 1556 | Puget Systems |
| Monster | 738.16 samples/分 | StorageReview |
| Junkshop | 405.23 samples/分 | StorageReview |
| Classroom | 414.62 samples/分 | StorageReview |
StorageReviewの同一シーンを版別に比べると、Blender 4.3から4.5でMonsterは約17%、Junkshopは約38%、Classroomは約26%伸びています。これは両版の測定値から計算した増加率で、GPU本体が変わった結果ではありません。シーン別の毎分サンプル数は、同じシーンと同じBlender版を比べるときに役立ちます。シーンの内容が違うため、MonsterとJunkshopのサンプル数から完成までの時間差は算出できません。
16GB VRAMが効く場面
複数の高解像度テクスチャや大きいジオメトリを扱うと、シーンのデータ量が増えます。B50の16GBは、このデータをGPUメモリーに載せられる余裕として働きます。Intelのデータシートでは16GB GDDR6、224GB/s、16基のXeコアを確認できます。VRAM容量は収まるシーンの大きさに関わり、224GB/sとコア数は処理の速さを左右する別の要素です。
素材が軽いシーンでは容量の余裕を使い切らず、より強力なGPUが早く書き出すこともあります。反対に8GB級のGPUでシーンがVRAMを超えると、作業の進行に制約が生じます。B50は「大きめのシーンを省電力PCで処理する」という選び方に合います。
RTX A1000との比較の読み方
Puget SystemsではB50がA1000を約20%上回りましたが、LTT LabsのBlender 4.5.2テストはA1000のOptiXが有利だったと報じています。二つの結果は、テストしたシーン、ソフトの版、ドライバー、バックエンドが異なります。Pugetの1556とLTTの値を直接足し引きせず、B50の優位は固定的な性能差と扱わない方が正確です。
BlenderでIntel GPUを使う場合は、CyclesのGPUレンダリングでoneAPIを選ぶ構成です。B50の16GBを活かしたいなら、普段使うシーンと同じ程度のテクスチャ量を持つテストを基準にします。ビューポートの滑らかさと最終レンダリングの速度も異なる指標です。
レンダリング待ち時間を見積もる際は、テストシーンのサンプル数、解像度、ノイズ除去を合わせて測る必要があります。B50の16GBが効くのは、8GBのカードでは素材を載せ切れないシーンを扱う時です。小さいシーンを大量に書き出す作業では、容量の余裕よりも1枚ごとの処理速度が効きます。PugetとLTT LabsでA1000との順位が異なるため、B50を一律に最速と扱わず、制作するシーンに近い試験結果を採用します。
70Wカードとしての評価
StorageReviewはJunkshopのようなテクスチャ負荷の高いシーンでB50が苦しくなる点を指摘しています。70Wの補助電源不要カードなので、大型GPUの絶対速度と競う立ち位置ではありません。小型ケースに入るIntel標準カードは168×69mmの2スロット設計。大きな電源やケースを用意しにくい制作PCで、16GBを確保できるのが強みです。
まとめ
Arc Pro B50はBlender Cyclesで確かな実測結果があり、16GBのVRAMが必要な中規模シーンに向く省電力GPUです。レンダリング時間を最優先するなら、価格と電力に余裕を持つ上位カードの結果も比べましょう。B50を検討する場合は、同クラスタのケースサイズとRTX A1000比較の記事で、搭載条件と別用途の差を確認できます。
