Arc Pro B60とB70は、どちらもXe2世代のワークステーション向けGPUです。選択の核心は、B60の24GBで作業が収まるか、B70の32GBと演算器の増加が必要かにあります。Intelの両製品仕様を同じ項目で比較し、用途別に選び方を整理します。

公式仕様の比較

IntelのB60仕様とB70仕様を並べると、メモリ容量と演算器数の差が明確です。B70の32GBはB60より8GB多く、Xeコアは32基対20基です。B70の帯域幅は608GB/s、B60は456GB/sです。

項目 Arc Pro B60 Arc Pro B70
グラフィックスメモリ 24GB GDDR6 32GB GDDR6
Xeコア 20基 32基
XMXエンジン 160基 256基
FP32公称演算性能 12.28TFLOPS 22.94TFLOPS
メモリ帯域幅 456GB/s 608GB/s
標準TBP 200W 230W
PCIe接続 5.0 x8 5.0 x16

FP32の公称値は演算仕様の比較に使います。実際のレンダーや推論の処理時間は、同じアプリ・設定の測定値で比較します。

ローカルLLMでの選択

LLMの重みとKVキャッシュが24GB以内に収まるなら、B60単体で始める道があります。例えば大きいコンテキスト長を使うとキャッシュが増え、同じモデルでも必要な容量は変わります。24GBを超え、32GB以内に収まる構成を狙うならB70単体が候補です。32GBも超えるモデルを使うときは量子化や複数GPUの分割が必要になります。容量の計算はB60のLLM記事で整理しました。

B60を2枚買えば物理容量は48GBですが、1枚の48GBカードとして扱えるわけではありません。IntelのLLM Scalerなど、モデル分割に対応した環境を構築します。2枚分のカード代、標準TBP合計400W、スロットと冷却の条件も加わるため、2枚構成の記事とB70単体を合わせて検討します。

3Dと制作作業での選択

Blender CyclesではIntel Arc BシリーズをoneAPI経由で使えます。シーンが24GBに収まるなら、演算器と帯域の多いB70が速度面で有利になる余地があります。ただし実際の差は同一シーンの測定値で判断します。シーンが24GBを超えて32GB以内なら、B70の容量差そのものが導入理由になります。映像制作では両GPUともAV1エンコード/デコードを公称し、メディアエンジンはいずれも2基です。素材やエフェクトの特性が選択を左右します。

映像出力については、Intelの仕様で両GPUとも最大4画面をサポートします。実際の端子の種類と数は完成カードで確認します。複数画面の制作環境では、GPUの容量や演算器数と合わせて、手持ちのモニターへ接続できるかも選択条件です。

カードと予算の見積もり

B60とB70の標準TBP差は30Wですが、実際に買うカードはメーカーごとの電力や寸法が優先されます。国内のB60製品SPARKLE SBP60W-24Gは200W、長さ289mm、8ピン1本です。B70を選ぶなら、その製品のカード寸法、補助電源、販売価格を別途照合します。B60の発売時想定売価をB70の現行実売と混ぜず、同じ時点の新品価格で比較するのが筋です。

購入価格は同じ時点の新品在庫がある商品で比較します。完成カードの電力と補助電源は製品ごとに異なるため、電源やケースの増設費用も総額に含めます。

使うアプリが一つに決まっているなら、先に必要なGPUメモリを測ります。24GBに余裕を持って収まる作業では、B60の購入価格と同じ条件の処理時間を比較します。24GBを超える作業なら、B70の32GBに収まるかが先です。両方に収まる場合だけ、同一版のソフト、同一設定の測定結果で速度差と価格差を比べると、仕様の数字を購入判断へ結びつけられます。

PCIe接続の違い

Intelの仕様ではB60はPCIe 5.0 x8、B70はPCIe 5.0 x16です。PCへ搭載するときはマザーボードのスロット形状だけでなく、実際に配分されるレーン数を見ます。ストレージや他の拡張カードを増設しているPCでは、スロット間でレーンを共有する構成もあります。LLMのモデルを読み込む工程や大きなデータを移す作業では転送条件も関わるため、既存PCの仕様表を確認してからカードを選ぶと、搭載後の動作条件が明確になります。

1枚と2枚の違い

B70単体の32GBに収まる作業は、1枚のGPUで処理できます。B60の2枚構成で大きな作業を扱うには、アプリ側の分割対応が必要です。Blenderで別々のジョブを2枚へ割り当てる場合と、一つのLLMを分ける場合も運用方法が異なります。必要なアプリが複数GPUをどう扱うかを確認してから、容量と費用を比較します。

まとめ

B60は24GBを中心に費用と電力を抑える候補、B70は32GBと多い演算器を求める候補です。先に扱うモデルやシーンの必要メモリを確認し、次に同条件の性能資料とカードの価格を比較します。B60側の全体像は仕様記事で確認できます。