Arc Pro B60を2枚使えば合計48GBの専用VRAMを搭載できます。24GBずつ二つのメモリ空間となり、推論ソフトがモデルを2枚へ分割して大きな重みを扱います。ここではハードウェアの実装と、Intelが案内する複数GPU向けのソフトを合わせて見ます。
24GB×2のメモリ配置
Intelの仕様ではB60は1枚あたり24GB GDDR6、PCIe 5.0 x8、標準TBP 200Wです。2枚なら物理メモリ容量の合計は48GBで、標準TBPの合計は400Wになります。モデル並列では、重みの一部を各カードへ置き、推論途中のデータをカード間で受け渡します。このため48GBの重みファイル全体が収まるという単純な計算はできず、各カードの作業領域とキャッシュも必要です。
単一GPUに収まる小型モデルを2枚で別々に動かす方法もあります。こちらは複数の独立した要求を処理する用途に向き、1件の応答速度が単純に2倍になる構成ではありません。一つの大きなモデルを分割する方式とは、メモリの使い方も性能指標も異なります。用途が同時処理数なのか、単体では載らないモデルなのかで設定を変えます。
SPARKLEの製品資料は単体24GBモデルと、2GPUを1枚のボードに載せる48GBモデルを別々に記載しています。48GB Dual-GPUカードの電源端子は12V-2x6、TBPは300Wとされ、24GB Blowerカード2枚とは構造が違います。本記事の電力とスロット数は、単体24GBモデルを2枚挿すケースを指します。
ソフトと転送経路
Intelのllm-scaler vLLM版はIntelの複数GPUプラットフォーム向けに拡張されたソフトです。FAQには2枚のB60を使った内部評価環境も載っています。これは対応するソフトウェア経路が存在する根拠ですが、モデルごとの速度や安定性を一律に示す値ではありません。モデル分割の単位、コンテキスト長、バッチサイズによって2枚間の通信量が変わります。
PCIe 5.0 x8はGPUごとの接続仕様です。マザーボードが2枚目をどのレーン数で接続するかは、採用するCPUと拡張スロット配線によります。2枚とも物理x16スロットに装着できても、実際の電気的なレーン数は別です。またカード同士の通信は、ソフトとプラットフォームが選ぶ経路を通ります。単体メモリ帯域456GB/sを2倍してカード間転送速度とすることはできません。
電源と物理配置
ASRock B60 Creatorは271×112×39mmの2スロット、8ピン1口です。SPARKLEの24GB Blowerは289×120×42mmの2スロット、8ピン1口。2枚構成では少なくとも2本の8ピン補助電源ケーブルと、カード間に必要な拡張スロット空間を確保します。ブロワー型は筐体外への排気を意識した製品ですが、近接配置ではケース内の吸気経路も重要です。
B60の標準TBP 200Wを2枚分合計すると400Wです。電源ユニットにはCPUやその他の部品の負荷も加わります。例えばCPUの最大パッケージ電力が200Wなら、GPUとCPUだけで600W相当の設計上の上限になります。システム全体の必要容量は、選んだCPU、カード、電源のコネクタ構成から算定します。
2枚構成で分かれる導入費用
2枚のGPUを収めるケースには、カード長だけでなくPCIeスロットの実装位置が関わります。ASRock製なら2枚とも39mm厚ですが、マザーボードのスロットが隣接すると、片方の吸気面をもう片方が覆う配置も生じます。SPARKLE製の42mm厚のブロワーでも、2スロット占有という表記だけではカード間の吸気距離を表せません。空いたスロットが何本あるかに加え、装着後の吸気経路まで設計する必要があります。
価格面では、2026年9月26日にPCワンズが掲載したSPARKLEの単体B60は1枚税込178,800円でした。2枚のカード代は単純計算で357,600円です。電源ユニットやケースを買い替える場合、その費用は別に加わります。同じページのB70 32GBは税込259,800円で、単体B70より2枚のB60の方がカード代だけで97,800円高い計算です。2枚構成が意味を持つのは、32GBを越えるモデル分割や、独立した要求の並列運用など、1枚構成では満たせない処理がある場合です。
IntelのFAQに示される内部評価は、CPUにXeon W5-2545Xを使うなど構成が具体的です。その数値を別のマザーボードやソフト版へ直接移すのではなく、同じモデルとバッチ条件の評価として読みます。物理的に2枚を挿せるか、ソフトが両方を認識するか、処理を分割した際に速度が改善するかは、順に異なる確認項目です。
まとめ
B60の2枚構成には、48GB相当の総VRAMをモデル分割に使う方法と、24GB級の処理を2件並行する方法があります。Intelの複数GPU向けソフト、PCIe配線、2本の8ピン、冷却空間を一つの構成として設計します。筐体の具体的な寸法はケース記事、電源側の計算は電源記事も参照してください。
