NVIDIA RTX A6000は2枚をNVLinkで結べるワークステーションGPUです。「96GB」という表記は、各カードの48GBを足した物理容量を指します。大きなレンダリングデータやAIモデルで合計容量を活用するには、2枚のカードに対応したブリッジと、作業を分配するソフトウェア設定までそろえる必要があります。

RTX A6000のNVLink仕様

NVIDIAの製品ページは、2基のRTX A6000を接続し、合計96GBのGDDR6メモリを扱えると説明しています。ブリッジ経由の帯域は最大112GB/s級です。NVIDIAの仕様表には、2-way NVLinkと、2スロット間隔・3スロット間隔のロープロファイルブリッジが記載されています。エルザ ジャパンもAmpere世代用のNVLink Bridge 2-Slot、3-Slotをオプションとして案内しています。

用意するもの 必要な理由
RTX A6000を2枚 各48GB、合計96GBを構成
スロット間隔に合うAmpere用ブリッジ 2基のNVLink端子を接続
PCIe x16形状の搭載スペース 2スロット厚のカードを2枚収容
各カードへの電力供給 ボード電力は1枚あたり最大300W
マルチGPU対応ソフトウェア 計算とメモリの分担を設定

ブリッジはカード間の実際の距離に合わせて選びます。2スロット厚のカードを隣接させる構成でも、マザーボードの物理スロット間隔によって必要なブリッジが変わります。カードを購入する前に、使用するマザーボードのスロット配置を寸法として確定しておくと、部品選びが具体的になります。

96GBの使われ方

2枚を接続しても、各GPUのローカルメモリは48GBずつです。NVIDIAはNVLinkを大規模データを扱うためのGPU間接続として説明しています。アプリが複数GPUのメモリを使うよう設計されていれば、計算を分けて合計96GBを活用できます。単一GPUだけを使うアプリでは、その処理に割り当てられるのは1枚のカードです。

ローカルLLMなら、vLLMなどでテンソル並列化を設定し、モデルの計算を複数GPUへ分配します。NVLinkはGPU間通信の経路で、並列化そのものは実行環境が担当します。vLLMの公式ドキュメントは、tensor_parallel_sizeによる分割と、入力長・同時実行数によるメモリ節約を説明しています。モデルの重みが2枚の合計に収まっても、KVキャッシュなど実行中の領域が別に必要です。計画時は96GBを重みの上限とみなさず、各GPUの割り当てと余白を見積もります。

Blenderなどのレンダリングでも、複数GPUの利用方法はレンダーエンジンとバージョンに依存します。利用できるメモリは、アプリが各GPUの48GBをどのように分担・共有するかで決まります。使用するアプリがどの処理を各GPUへ置くかを基準に構成を決めるのが正確です。

電源と冷却の構成

A6000は1枚あたり最大300Wなので、2枚のGPUだけで最大600Wです。CPUやほかの部品にも電力が必要です。エルザの単体製品は最低650W、推奨700Wの電源を案内しますが、これは1枚構成向けの目安です。2枚を搭載する場合はGPU 600WとCPUなどの負荷を合算し、電源の容量と接続口を別途設計します。

エルザ製カードの電源入力はCPU 8ピンで、付属のアダプターはPCIe 8ピン2本を使用します。2枚ならアダプターと給電線も2組必要です。ケース内には合計4スロット分のカード厚と吸気・排気の通り道を確保します。隣接するカードの間隔を詰めすぎると、吸気の条件が厳しくなります。

ソフトウェア側の確認項目

Blenderの公式マニュアルは、通常の複数GPUでは各GPUが自身のメモリを使う一方、NVLink接続のNVIDIA GPUでは「Distributed Memory Across Devices」を有効にするとメモリ共有が可能と説明しています。レンダリング用途で96GBを期待する場合は、利用するBlender版でこの設定が使えるか確認します。共有には性能上のコストがあるため、容量と処理時間を別々に評価します。

LLMのテンソル並列化では各GPUへモデルの一部を置きます。通信の量と方式は実装ごとに違うので、NVLinkの最大帯域112GB/sだけから推論速度を予測できません。実際のモデル、入力長、同時リクエスト数で2枚構成を試すと、48GB単体との差を判断できます。

まとめ

RTX A6000のNVLinkは、2枚の48GBを接続して大きなデータを扱うための手段です。合計96GBを生かせるかはアプリのマルチGPU対応と分割設定で決まります。購入前にブリッジの間隔、ソフトウェアの並列方式、2枚分の電力と冷却をそろえて考えると、構成の可否を判断できます。