AMD Radeon PRO W7600は、H.264/HEVCに加えてAV1のハードウェアエンコード・デコードを備える8GBの業務用GPUです。動画編集ではコーデック処理、GPU効果、素材の読み込みが異なる負荷として現れます。Puget SystemsのPremiere ProとDaVinci Resolveの実測を見ると、W7600が得意な工程と8GBモデルとしての限界が見えます。
AV1エンコードとデコード
AMDのW7600公式仕様は、AV1のエンコードとデコードに対応すると記載しています。AV1素材の読み込みでデコーダーを、AV1形式の書き出しや配信でエンコーダーを使う構成です。実際にどの工程でハードウェアを使うかは、編集ソフトのバージョン、書き出し設定、素材の色深度や形式に依存します。GPU側には両方向の回路があるため、AV1へ移るワークフローの候補になります。
| 処理 | W7600の対応 | 作業例 |
|---|---|---|
| AV1デコード | 対応 | AV1素材の再生・編集 |
| AV1エンコード | 対応 | AV1形式の書き出し |
| H.264/HEVC | 対応 | 一般的な動画素材の処理 |
| グラフィックスメモリ | 8GB | フレームやGPU効果の保持 |
AMDのW6600資料はAV1デコードを記載しますが、AV1エンコードは記載していません。W6600から更新する場合、AV1で出力したい人には機能面の差があります。ただしコーデック専用回路の有無とタイムライン全体の快適さは別です。GPU効果や高解像度フレームの処理はメモリと演算性能も使います。
Premiere Proの測定結果
Puget Systemsの独立テストは、Premiere Pro 23.5とThreadripper PRO 5975WX、Windows 11でW7600などを測りました。Extended Overall ScoreはW7600が530、RTX A2000が533.67でほぼ同じです。GPU Effects ScoreもW7600が26.07、A2000が25.9と近接しました。一方、H.264/HEVCスコアはW7600が86.2、A2000が71.83。素材のコーデック処理ではW7600が上回りました。
PugetはH.264/HEVCでの差を約20%と説明しています。約20%差は2023年のPremiere Pro 23.5で測った結果です。比較として使えるのは、同一プラットフォームで測ったW7600とA2000の相対的な傾向です。動画編集用GPUを選ぶ際には、扱う素材のコーデックと頻繁に使うGPU効果を軸にします。
DaVinci Resolveでの位置づけ
同じPugetのDaVinci Resolve 18.5テストでは、H.264/HEVCのスコアがW7600で85.9、A2000で84.2でした。両者は近い結果です。GPU効果のスコアはW7600が63、A2000が58で、W7600が少し上回ります。RED/BRAWのスコアもW7600が167、A2000が157.3でした。コーデックごとに相対差は変わるため、PremiereのH.264/HEVCでの20%差をResolveへそのまま当てはめません。
Pugetは、W7600級のカードを軽めの編集プロジェクト向けと評価しています。重いOpenFXやノイズ除去を多用するなら、より強力なGPUが必要になるという見解です。この分類は8GB VRAMの容量からも理解できます。4K素材を複数重ね、高解像度の効果を同時に使う場合、メモリ使用量が先に増えます。単純なカット編集やH.264/HEVC中心の作業とは負荷が違います。
編集用ワークステーションへの導入
W7600の公称TBPは130Wで、全高1スロット、長さ241mmです。映像出力はDisplayPort 2.1を4個備えるため、タイムライン、プレビュー、素材一覧を複数画面へ分ける構成にも対応します。電源ユニットにはPCIe 6ピン補助電源が1本必要で、AMDの現行ページは最小500Wを推奨しています。編集ソフトとキャプチャーカードを併用する場合も、1スロットの幅が拡張枠を残します。
AV1はGPUの機能として使えますが、制作全体で必要な書き出し形式は納品先の仕様で決まります。AV1納品を想定している人は、使う編集ソフトの出力形式を決めれば、W7600のエンコード機能を活かす工程が定まります。H.264/HEVCが中心なら、Pugetの実測がより直接的な判断材料です。
動画編集用GPUの結論
W7600はAV1の双方向処理を備え、Premiere ProのH.264/HEVCとResolveのGPU効果で良い実測があります。8GBを超える重い効果制作なら上位モデルも候補です。W6600からの更新で得られる差は世代比較に、複数画面の構成はDisplayPort 2.1の仕様にまとめています。
