Radeon Pro W7900とW7800を選ぶとき、最初に確認したいのは普段の作業データが32GBのGPUメモリに収まるかです。標準W7800は32GB、W7900は48GBで、後者は16GB多くなります。演算ユニットや帯域幅もW7900が上ですが、使うソフトによって性能差は変わります。AMDのW7900仕様と標準W7800仕様、同条件で測った実測を合わせて比較します。
公式仕様の差
| 項目 | W7900 | 標準W7800 |
|---|---|---|
| 専用メモリ | 48GB ECC GDDR6 | 32GB ECC GDDR6 |
| 演算ユニット | 96 CU | 70 CU |
| ストリームプロセッサ | 6144 | 4480 |
| メモリ帯域幅 | 最大864GB/s | 最大576GB/s |
| ボード電力 | 295W | 260W |
| 推奨電源 | 750W以上 | 700W以上 |
W7900は容量が1.5倍、帯域幅も公称値では1.5倍です。作業の速度差は、対象ソフトのGPU利用率やCPU・ストレージの待ち時間で変わります。W7900は標準版が3スロット厚、W7800は2スロット厚です。拡張カードを多く載せる場合は、W7900 Dual Slot版も比較対象に入ります。
メモリ容量の境目
大きな3Dシーン、CADアセンブリ、GPU上に置くAIモデルが32GBを超える場合、W7900の48GBには分かりやすい価値があります。W7800で分割していた処理や素材の縮小を減らせる可能性があるためです。一方、作業のピークが20GB程度なら、W7900の追加16GBは当面の速度差には直結しません。モデルや素材の最大サイズと、今後増える見込みを記録してから容量を選びます。
AMDには別製品のW7800 48GB版もあり、48GBが必要な場合の比較候補です。この記事の表は標準W7800の32GBを対象にしています。国内価格を比べる際は、W7800のメモリ容量と型番を揃えます。AMDのW7800 48GB版は、標準W7800と同じ70 CU・260Wながら、メモリ帯域幅が576GB/sから864GB/sへ増えています。48GBが必要でも、演算ユニット数まで96 CUへ増やす必要がなければ、この48GB版を価格比較に加える価値があります。
制作ソフトでの差
Puget Systemsの同一環境レビューでは、Blender 3.4のGPUレンダリング集計がW7900で3594、W7800で2556でした。W7900のほうが速いものの、差はテストしたシーンとアプリ版に依存します。DaVinci ResolveではGPU Effectsが171対122、拡張総合が2735対2505でした。エフェクトの差は大きく、総合の差は相対的に小さい結果です。
同レビューのH.264/HEVC処理はW7900が115.2、W7800が116.5で、W7900への増額による明確な利点を示しませんでした。コーデック処理が主な仕事とGPUエフェクトが主な仕事では、参考にする行が異なります。これらの実測は2023年のソフト環境で得られたため、2026年の版へ順位をそのまま持ち込まず、普段使う素材で確認します。
演算資源と電力の増分
W7900の96 CUは標準W7800の70 CUより26 CU多く、約37%の増加です。ストリームプロセッサも6144対4480で約37%増えます。帯域幅は864対576GB/sで50%増、メモリ容量も48対32GBで50%増です。対して公称ボード電力は295対260Wで35W増、割合では約13%です。仕様だけを見るとW7900は演算資源と容量を増やしながら、電力の増分を比較的小さく抑えています。
ただし、CUや帯域幅の増加率を、そのまま作業時間の短縮率には使えません。Puget SystemsのResolveテストではGPU Effectsの点数差が約40%でも、拡張総合スコアの差は約9%でした。Blender 3.4ではW7900の点数がW7800より約41%高く、アプリによって差の表れ方が異なります。消費電力も公称ボード電力の比較であり、普段の作業時の実測電力ではありません。どの数値を重く見るかは、待ち時間が発生している工程で決まります。
まとめと買い分け
現在の案件から最も重い三件を選び、GPUメモリのピーク、待ち時間の長い処理、使う表示モードを書き出します。32GBを超える案件があるならW7900を中心に、W7800 48GB版の価格も確認します。32GB以内なら、実測で得られる時間短縮と購入額の差を比較します。W7900は電力が35W高い公称値で、標準版は1スロット厚いため、設置費用も計算に入れます。
容量が決まったら、W7900の国内価格と在庫、販売条件を同じ日に確認します。W7900は大容量と高い演算資源を同時に求める仕事に向き、標準W7800は32GBで足りる作業の費用を抑えやすい候補です。どちらが得かは、作業時間の短縮と必要なメモリ容量で決まります。
