RTX PRO 6000 Blackwell Max-QはNVIDIAが最大4枚搭載を想定するワークステーションGPUです。4枚なら96GB×4で合計384GB、300W×4でGPUだけの公称最大電力は1,200Wになります。導入には、仕事を4枚へ割り振るソフトと、4枚を冷やせる筐体が必要です。必要な条件をハードとソフトの両面から確認します。
4枚構成の数字
| 台数 | GPUメモリの合計 | GPUの公称最大電力の合計 | 補助電源コネクター数 |
|---|---|---|---|
| 1枚 | 96GB | 300W | 16ピン ×1 |
| 2枚 | 192GB | 600W | 16ピン ×2 |
| 4枚 | 384GB | 1,200W | 16ピン ×4 |
NVIDIAのデータシートはPCIe 5.0 x16、1枚につきPCIe CEM5 16ピン1個、2スロットの形状を示しています。4枚を載せるには、物理スロットだけでなくCPUからのPCIeレーン数、各スロットへの配線、十分な電源ケーブルが必要です。カード長は約267mmでも、吸気とケーブル取り回しの空間を確保すると必要な筐体は大きくなります。
VRAM合計と単一処理の違い
384GBは4枚のGPUが持つ容量の総和です。例えば4件の独立したAI推論を1枚ずつ担当させれば、各96GBをそのまま使えます。1つの大きなモデルを4枚へ分ける場合には、モデル並列やテンソル並列に対応した推論ソフトが必要です。NVIDIAのCUDA複数GPUガイドも、アプリが各GPUへデータを配り、実行結果を通信・収集する設計を説明しています。
3Dレンダリングでもシーンが各GPUのメモリに複製されるソフトでは、使える1シーンの容量は96GBが上限の目安です。カードを増やすと同時に処理できる仕事量は増えても、単一シーンの容量上限が単純に384GBになるわけではありません。この違いは4枚構成の投資効果を左右します。AIならモデルを分割したときのGPU間通信、レンダリングならシーンデータの複製と仕事の割り当てが論点です。
電力と冷却の実装
4枚のGPUが1,200Wを使う設計値に、CPU、メモリ、ストレージ、ファン、マザーボードの負荷を加えます。電源ユニットの定格はこのシステム全体の負荷を対象に選びます。カードごとに指定された16ピン電源配線を用意し、取り回しに必要な空間を確保します。電源容量だけ大きくしても、熱をケースから出せなければ長時間負荷でクロックが落ちます。
Max-Qのブロワーファンは熱気を背面へ送り出します。Puget Systemsの実機検証は、カード同士を密着させた配置では吸気不足になり、1スロットの間隔を設ける配置を理想としています。カード背面のメモリを冷やす気流も必要です。8スロット分のカード厚だけでなく、間隔を加えた拡張スロット配置を考慮すると、4枚対応をうたうシャーシとマザーボードを選ぶ意味が分かります。
処理速度の伸び方
複数GPUの効果はアプリによって大きく変わります。Puget Systemsは3枚のMax-Qを用いたDaVinci Resolveテストで、GPUエフェクトは1枚の約2倍になった一方、LongGOP処理は3枚の方が遅くなったと報告しました。同テストでは安定性の問題にも遭遇しており、単一GPUの結果を枚数倍した予測は使えません。レンダリング系ではV-RayやOctaneなどで強い伸びを確認していますが、Blenderベンチマーク自体は単一GPUのみの測定です。
4枚構成を選ぶ根拠は、対象ソフトが4枚へ分散できること、同時処理ジョブが十分あること、設備として1,200W超のシステム負荷を受けられることです。まず1枚で対象データの容量と処理時間を把握し、次に2枚でアプリの伸びを確認すると、4枚の購入額を説明しやすくなります。
PCIeスロットの設計
4枚をすべてPCIe x16で配線するなら、GPU向けのレーンだけで16×4=64レーンを使います。ストレージやネットワークカードも搭載する場合は、それらの接続分を含むプラットフォーム設計が必要です。また2スロット厚のカードを4枚並べるだけで8スロット分を占めます。Puget Systemsが理想とする1スロットの間隔を3か所に置けば、端から端まで11スロット分の配置になります。公称の「最大4枚」は対応ワークステーションでの上限であり、一般的なケースの拡張スロット配置にそのまま当てはまる寸法ではありません。
導入順序の一例
4枚を最初から揃える場合は、GPU代の単純合計だけでも9,726,200円になります。まず1枚で代表的な処理を測り、次に2枚で同時実行数や速度の伸びを見れば、残り2枚の投資を仕事量に結び付けられます。ソフトが1枚しか使わない工程なら、GPUを増やすよりジョブの分割方法を変える方が効果的です。
構成判断
単一の96GBで足りない仕事と、96GBの仕事を4つ同時に走らせたい需要では、必要なソフト構成が異なります。前者には分散実行、後者にはジョブ配分が中心です。GPU単体の配線と電力は電源記事で、GPU1枚を複数ユーザーへ分ける方法はMIG記事で確認できます。
