DaVinci Resolveの実測内容
Radeon AI PRO R9700は32GBのGDDR6を備え、AIだけでなく映像編集ソフトのGPU処理にも使えるワークステーション向けカードです。AMD Heroesが紹介したPugetBenchの比較では、DaVinci Resolve Studio 20.0.1とPugetBench 1.2.0を使い、R9700を1枚、2枚、3枚に増やした構成を検証しています。
テスト環境はAMD Ryzen Threadripper PRO 9975WX、DDR5-4800の32GBメモリ8枚、合計256GB、ASUS Pro WS WRX90E-SAGE SE、1600W電源、Windows 11 Proです。R9700はドライバー25.6.1で測定されています。結果は同じワークステーションとソフトウェアを使ったベンチマークのため、一般的なデスクトップPCで測る場合の参考点として読むのが適切です。
2枚構成での伸び
公開されたPugetBenchのOverall Scoreグラフでは、R9700を2枚にすると1枚構成に対して約1.3倍の性能向上が示されています。1枚追加したときの伸びは、GPU数と同じ2倍ではありません。複数GPUを使う処理と、CPUやストレージ、ソフトウェア側の処理が中心になる工程が同じスコアに含まれるためです。
同じ比較には1枚から3枚までのR9700と、1枚から3枚までのNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Editionが載っています。GPU価格の注記は2025年10月24日時点の米国価格で、R9700が1枚1,299ドル、RTX PRO 6000が8,500ドルです。現在の国内購入価格と直接比較する数字ではありませんが、複数カードを前提にしたスケーリングを評価する図として利用できます。
Overall Scoreの意味
PugetBenchのDaVinci Resolve Extendedは、ファイルの読み込みや書き出しだけのテストではありません。Puget Systemsの採点説明では、LongGOP、IntraFrame、RAW、GPU Effects、Fusion、AIの各スコアを組み合わせ、幾何平均からOverall Scoreを算出します。AIエフェクトやFusionを多用する作業と、特定のコーデックを長時間書き出す作業では、結果へ影響する項目が異なります。
そのため「R9700を2枚にすれば全ての書き出しが3割速くなる」とは読みません。約1.3倍は総合スコア上の結果です。実際の編集では、タイムラインの解像度、素材の形式と圧縮方式、カラー処理、ノイズ除去、Fusion、AI機能の使い方でGPU負荷が変わります。試用できる環境があれば、自分のプロジェクトと同じ素材で書き出し時間を測るのが最も直接的です。
32GB VRAMが役立つ作業
1枚のR9700に搭載された32GB VRAMは、動画素材、エフェクト、生成AIモデルなどGPUメモリを多く使う構成に余地を作ります。AMDの仕様上はメモリ容量が大きくても、プロジェクトのメモリ使用量が少ない場合に自動で書き出しが速くなるわけではありません。高解像度の素材やAIエフェクトでVRAMを使い切る場合、容量に余裕があるカードを検討する意味が出ます。
PugetBenchの総合比較はR9700の複数カード構成を測っていますが、カードの組み合わせだけで全ての処理を並列化できるわけではありません。DaVinci Resolve Studioは複数GPUを利用できますが、作業ソフトの版やテスト設定を揃える必要があります。無料版とStudio版でもハードウェアデコード・エンコードやAI機能などに違いがあるため、購入前に使うエフェクトとライセンスを確認します。
編集用GPUとしての選び方
動画編集だけが目的なら、使用中の解像度とコーデック、編集ソフトでよく使う処理のレビューを基準に候補を絞ります。R9700はローカルAI推論も含めて32GBを活用する場合に価値を出しやすく、AI機能と制作作業を同じマシンで動かしたい人にも候補です。カード価格に加えて、Threadripper級のCPUや複数カードを支える電源・ケースを要する構成では総額を比較してください。
動画編集と生成AIを同時に考える場合は、ComfyUIでの画像生成ベンチと32GB VRAMで扱えるLLMも判断材料になります。2枚構成では編集以外のLLM実測も含めたデュアルGPUの結果を確認し、対応ソフトと電源・スロット数を合わせて選びましょう。
素材と編集版をそろえる
動画編集でGPUを比較するときは、DaVinci Resolveの版とFreeまたはStudio、プロジェクトの素材、再生解像度、書き出しコーデックを記録します。PugetBenchのExtended presetにはGPU EffectsやFusion、AIを含むため、ストレージ速度やCPUを変えるとGPU以外の処理が結果へ影響することがあります。メーカーが公開するカード単体のスコアと、別のCPU・メモリで取得したスコアを直接比較しないようにします。
Puget SystemsはOverall Scoreの通常の測定ばらつきを約2〜3%、大分類ごとのばらつきを約5〜10%としています。小さな差を見るときは複数回走らせ、同じベンチマーク版の結果を比較します。ベンチマーク表の前提を保つことで、GPUの違いと測定時の揺れを見分けやすくなります。
