300Wと750Wの読み分け

AMDの製品仕様では、Radeon AI PRO R9700のTotal Board Powerは300Wです。これはグラフィックカードの消費電力の仕様値で、PC全体が常に300Wになる意味ではありません。AMDは同じ仕様ページでシステム向けの最低電源容量を750Wと案内しており、CPUやストレージなども組み合わせた一般的な構成を考える出発点になります。

推論や画像生成の実測では負荷によってカードの電力が変化します。Puget Systemsの計測では、R9700単体で実行するモデルや同時リクエスト数によって実測値が異なり、300W近くまで使う試験もありました。電源を選ぶときはTBPだけを合計するのではなく、CPU、メモリ、ドライブ、ファンの構成と負荷時の余裕を含めて見積もります。

12V-2x6コネクタ

AMDの仕様ページでは外部電源コネクタとして12V-2x6を指定しています。購入するボードの型番ごとに、電源ユニット直結ケーブルを使うのか、付属アダプターを介するのかを製品マニュアルで確認します。SAPPHIRE版を掲載しているドスパラの商品ページでも、型番ごとの製品仕様と販売状況を確認できます。

接続する際は、プラグとソケットの向きを合わせ、カード側へ奥まで挿入できたか目で確認します。サイドパネルを閉じるときにケーブルへ強く横方向の力がかからない配線経路も考えてください。電源ユニットを買い替えるなら、コネクタ形状だけではなく、メーカーの定格容量とR9700の給電方法が合う製品を選びます。

2枚構成の電源・冷却

R9700を2枚使う構成では、カードのTBPを足した値は600Wです。これにCPUや残りのパーツが加わるため、単体カード向けの750W推奨をそのままデュアルGPU構成へ当てはめないでください。二枚構成を試したPuget Systemsは、ワークステーション向けCPU、128GBメモリ、専用マザーボードを含む構成で検証しています。

カードの冷却方式も複数GPUで重要です。Back2Gamingのテストで試したPowerColor版は2スロットのブロワー式で、ケース後部へ排熱する設計でした。ケース内の空気をカード周辺へ戻しにくい一方、ファン音が目立つ場面があります。メーカーや基板モデルによって長さ、厚さ、ファン構成は違うため、組み込む製品の寸法表と隣接スロットの空間を照合します。

電源選びの確認表

確認項目 Radeon AI PRO R9700の基準 組み立て時の確認
カード電力 TBP 300W CPUなどの消費分を加えて余裕を計算
AMDの電源推奨 750W 単体カード構成のシステム目安
外部コネクタ 12V-2x6 カードごとのマニュアルと電源ケーブルを照合
2枚構成のGPU分 最大600W相当のTBP 電源容量、ケーブル数、給電経路を再計算
排熱 製品によりブロワー式など ケースの排気、カード間隔、騒音を確認

数値は電源の定格容量だけでなく、実際に使えるPCIe補助電源ケーブルと、カードに同梱される変換部品まで確認して初めて構成に結び付きます。型番ごとの寸法、ケーブル取り回し、ケースの対応長も同じタイミングで調べると、購入後に部品を変更する作業を減らせます。

購入後の使い方と電源負荷

推論を連続して動かすワークステーションでは、長時間のGPU負荷に応じたケース吸排気も検討します。カード電力はモデルと同時実行数によって変わり、ワークステーション全体の消費電力や電気料金は壁コンセント側でも測れます。複数ユーザーへサービスする予定なら、瞬間的な最大負荷と一日当たりの稼働時間を基準にします。

R9700の単体推論で測られた生成速度はLLMベンチマーク記事に、二枚構成での電源と64GB VRAMの使い方はデュアルGPU記事にまとめています。国内の流通価格を先に確認したい場合は国内価格の記事もご覧ください。

構成別の電力計算

構成を決めるときは、GPUの公称TBPを足したあとに、CPUの電力上限、メモリ枚数、ストレージ、ファン、USB機器などの構成を加えてシステム全体を見積もります。単体カードの300Wは、ゲームやAI処理で常に同じ値になるという測定結果ではありません。PugetのAIテストでも、R9700の実測電力はモデルと同時利用数によって変化しました。

二枚構成では、2×300Wのカードに加えて高出力CPUを載せることがあります。電源ユニットの総容量だけでなく、各カードへ供給する12V-2x6ケーブルが何本必要か、メーカーが認める変換方法は何かを確認します。複数の電源ユニットを組み合わせる独自構成は配線制御が複雑になるため、ワークステーション向け製品仕様に沿って一台の電源で構成できるかを先に見積もると安全です。電源・ケースの費用も含む国内価格は価格の確認記事をご覧ください。