RTX PRO 4500 Blackwell Workstation Editionは、動画の再生・書き出し向けに2基の第9世代NVENCと2基の第6世代NVDECを備えます。NVIDIAはH.264/HEVCの4:2:2処理やAV1のエンコード・デコードを案内しています。編集ソフトが実際にその機能を使うかどうかは、素材のコーデック、色形式、コンテナ、ソフトの版で変わります。対応する処理と実測を分けて見ます。

NVENCとNVDECの構成

公式データシートはNVENCが第9世代2基、NVDECが第6世代2基と記載しています。NVENCは完成映像の書き出しなどに使うエンコード回路、NVDECは素材を読み込むデコード回路です。2基の利用率と実際の書き出し速度は、ソフトが各回路へ処理を分配する方法で変わります。

処理 公式に示された機能
エンコード 第9世代NVENC×2
デコード 第6世代NVDEC×2
H.264/HEVC 4:2:2のエンコード・デコードに対応
AV1 エンコード・デコードに対応
GPUメモリ ECC対応GDDR7、32GB

NVIDIAの日本語製品ページは、H.264/HEVCの4:2:2エンコードとデコード、HEVC/AV1の画質向上を別々に説明しています。4:2:2の対象として公式に明記されているのはH.264とHEVCです。AV1の対応内容は別項目として示されています。

4:2:2素材で変わる工程

4:2:2は輝度に対する色差データの保存方式で、一般的な4:2:0より色の情報を多く保持します。素材の取り込みとタイムライン再生ではデコード、納品ファイルの作成ではエンコードが関係します。GPU内の32GB VRAMは高解像度タイムラインや多数のGPU効果を扱うための作業領域です。4:2:2そのものとVRAM容量は別の仕様ですが、重い素材を複数扱う編集では両方が効きます。

Adobe Premiereの更新履歴には、NVIDIA Blackwell GPUでMXF内のAVC/HEVC 4:2:2 10ビット素材をハードウェアデコードする対応が明記されています。これは素材のコーデックに加えてMXFというコンテナまで条件に入った具体例です。アプリ側の対応は、コーデックとコンテナ、ソフトの版を組み合わせた条件で決まります。

DaVinci Resolveの第三者実測

Puget Systemsの制作系テストはDaVinci Resolve Studio 20.3とPugetBench 1.2.1を使用しました。長GOP・フレーム間圧縮のテストでは、RTX PRO 4500 Blackwellを含むBlackwellカードが旧世代に対し平均で約50%高い結果を示しています。GPU効果のテストでは世代全体で約70%の改善を報告しました。

同じテストで、フレーム内圧縮の素材はCPU側の制約が強く、GPU間のスコア差が小さくなりました。RAW素材もCPUとGPUの負荷が混ざり、長GOPほど単純な差は出ていません。編集全体の速度はデコード、GPU効果、レンダー、書き出しの比重で変わります。PugetはPremiere Proそのものをこの測定に含めていないので、Resolveの数値をPremiereの実測値としては使いません。

素材と処理の組み合わせ

PremiereのMXF内AVC/HEVC 4:2:2 10ビット素材では、対応版のソフトとBlackwell GPUを組み合わせた読み込み時にハードウェアデコードが働きます。一方、完成ファイルの書き出しはエンコード工程で、NVENCの対応形式と書き出し設定が関係します。同じ4:2:2素材を扱っても、タイムラインの再生、GPU効果、最終書き出しは別の処理です。

PugetのResolveテストで長GOP素材とGPU効果の改善幅が違ったのも、前者ではデコード、後者ではGPU演算の比重が異なるためです。編集用途の性能を一つの倍率で表すより、素材形式と時間の掛かっている工程を対応させると、2基のNVENC/NVDECと32GB VRAMが関係する場所が明確になります。

編集用GPUとしての位置付け

RTX PRO 4500はDisplayPort 2.1b出力4基を備え、200Wのボード電力で動きます。モニターへ直接出力するワークステーション用カードという位置付けです。業務用ドライバー、32GB ECCメモリ、二つずつの動画エンジンが一つの構成になります。コーデックの種類と素材の容器形式が確定していれば、どの処理に専用回路が関係するかまで判断できます。

編集負荷のうち、GPU効果や長GOP素材処理では第三者実測に改善が見られます。CPUが支配する工程ではGPUだけを交換しても伸びは小さい結果です。GPUの全体仕様は性能の記事に、同じ4500でも動画エンジンが各3基になるServer版との違いはエディション比較にまとめています。