RTX PRO 4500 BlackwellにはデスクトップのWorkstation Editionと、ラックサーバー向けのServer Editionがあります。どちらもBlackwell世代で32GB ECC対応GDDR7を搭載します。電力、メモリ帯域幅、スロット数、映像エンジン数、仮想化機能の公表値が異なります。用途に直結する差を整理します。

二つのエディションの仕様

NVIDIAのWorkstation版データシートとServer版の公式製品ページを照合した結果です。両版でCUDAコアは10,496基、メモリ容量は32GBと公表されています。

項目 Workstation Edition Server Edition
GPUメモリ 32GB GDDR7、ECC対応 32GB GDDR7、ECC対応
帯域幅 896GB/秒 800GB/秒
最大電力 200W 165W
冷却 アクティブ パッシブ
厚さ 2スロット 1スロット
NVENC / NVDEC 各2基 各3基
映像端子 DisplayPort 2.1b×4 サーバー向け仕様に映像端子の記載なし
MIG Workstation資料に記載なし 最大2インスタンス、各16GB

Server版の帯域幅は800GB/秒で、Workstation版より96GB/秒低い値です。消費電力も35W低い165W。公称FP32演算性能は双方の資料で51TFLOPSです。同じCUDAコア数でも、実際の動作条件は冷却と電力枠によって変わります。

冷却方式が決める搭載先

Workstation版はカードにファンを備えたアクティブ冷却で、一般的なワークステーション筐体に近い設計です。Server版はカード自体にファンを持たないパッシブ冷却で、サーバー筐体側の強制通風を使う構成になります。1スロットに収まる形状はサーバー内の高密度搭載に向きますが、カードに風が届く筐体設計が前提です。

両版のカード長は10.5インチ、約266.7mmです。厚さの違いは隣接スロットの利用可否に影響します。Server版を一般的なデスクトップケースへ入れた場合、スロットには収まっても、サーバー用の風量がなければ公式の冷却条件とは異なる構成になります。VideoCardzによる発表時の報道も165W・シングルスロット仕様を独立して記録しています。

映像出力とメディア処理

Workstation版にはDisplayPort 2.1bが4基あり、モニターを直接接続する設計です。NVENCとNVDECは第9世代・第6世代をそれぞれ2基搭載します。Server版の公表値は各3基で、動画の取り込み、変換、配信を並列に扱うデータセンター用途に寄せています。NVENCもNVDECもWorkstation版より1基ずつ多く、複数ストリームを処理する際に割り当てられる専用回路が増えます。一方、デスクトップのモニターへ直接映像を出す構成は、DisplayPortを4基備えるWorkstation版の仕様に対応します。

Server版のページには仮想ワークステーション用途やMIGによる最大2つの16GBインスタンスが記載されています。1枚の32GBを複数の利用単位へ分ける設計がある一方、Workstation版のデータシートに同じMIG構成は案内されていません。

電源とソフトウェア運用

両版ともPCIe CEM5の16ピン補助電源を1基使用します。ELSAのServer版仕様書には、受動冷却とサーバー用の動作環境が示されています。Workstation版は国内製品仕様で推奨電源600W以上。実際の電源容量はGPU以外のCPUや周辺機器の電力も含むPC全体で決まります。

16GB単位のMIGと用途

Server版のMIGは、1枚のGPUを最大2つの16GBインスタンスに分ける機能です。複数の利用者や処理を分離して割り当てるサーバー運用では、各インスタンスが独立したメモリ枠を持ちます。単一の処理へ32GB全体を割り当てる構成と、16GBずつ分ける構成では、収まるモデルやデータの大きさが変わります。たとえば20GBのVRAMを使う仕事は16GBのインスタンス内には入りません。Workstation版の資料にはMIGの利用条件が示されておらず、両版の仮想化機能は区別して扱います。

エディション選択の境界

モニターを直結する机上の制作PCでは、映像端子と内蔵ファンを持つWorkstation版が仕様上の対象です。ラックサーバーやエッジ機器で強制通風と仮想化を組み込む構成にはServer版の1スロット、165W、MIGが関係します。選択を決めるのは容量に加え、冷却方式、映像出力、MIGの要件です。Workstation版の実寸と電源はケースサイズの記事と補助電源の記事で詳しく扱います。