AMD Radeon RX 6400とNVIDIA GeForce GTX 1650のゲーム性能は近く、選択はPCの規格で決まります。PCIe 4.0、Low Profile、補助電源なしを重視するならRX 6400が有力です。PCIe 3.0の旧型PCや動画配信では、x16接続とハードウェアエンコーダーを持つGTX 1650に利点があります。
両製品にはボードメーカーごとの寸法、メモリ規格、補助電源の違いがあります。本記事ではGPUの公式仕様と具体的な市販モデルを分け、フルHDゲーム、電力、動画用途まで比較します。
記事画像にはAMD公式のRadeon RX 6400製品素材を使用しています。
RX 6400とGTX 1650の違い
2枚の要点を表へまとめると、RX 6400は新しいPCIe規格と低消費電力、GTX 1650は広いPCIeレーンと動画エンコードが強みです。
| 項目 | Radeon RX 6400 | GeForce GTX 1650 GDDR6 |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | RDNA 2 | Turing |
| 演算ユニット | 768 SP / 12 CU | 896 CUDAコア |
| VRAM | 4GB GDDR6 | 4GB GDDR6 |
| メモリバス | 64bit | 128bit |
| メモリ速度 | 16Gbps | 12Gbps |
| 接続 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 3.0 x16 |
| ボード電力の例 | 53W | 75W |
| 補助電源 | PCIeスロット給電 | なし/6ピンは製品次第 |
| レイトレーシング専用部 | 12 Ray Accelerators | なし |
| H.264・HEVCエンコード | なし | NVENCあり |
RX 6400の値はAMD公式仕様に基づきます。GTX 1650はGDDR5版とGDDR6版があり、NVIDIAの比較表ではどちらも896 CUDAコア、4GB、128bitです。クロックとメモリ速度は版によって異なります。
フルHDゲーム性能の比較
PCIe 4.0で動かすRX 6400とGTX 1650の平均ゲーム性能は近い水準です。TechSpotの12ゲーム比較では、RX 6400のPCIe 4.0接続がフルHD平均60fpsで、GTX 1650と同等でした。個別ではRX 6400が上回るDeath StrandingやHitman 3がある一方、F1 2021やFar Cry 6ではGTX 1650が優位です。
画質の目安はどちらもフルHDの低〜中設定です。4GB VRAMのため、高解像度テクスチャとレイトレーシングを重ねる使い方には余裕がありません。GPU平均だけで順位を固定せず、遊ぶゲーム、品質設定、使用するAPIが近いベンチマークを選ぶと判断しやすくなります。
RX 6400には12基のRay Acceleratorがありますが、レイトレーシングを有効にする演算余力は小さめです。GTX 1650はRTコアとTensorコアを持ちません。通常描画を優先し、対応ゲームではFSRなどのアップスケーリングを組み合わせる方が、両製品の性能帯に合います。
PCIe 3.0で広がる性能差
旧型PCではGTX 1650が選びやすい環境です。RX 6400はPCIe 4.0 x4のカードなので、PCIe 3.0スロットではリンク速度が半分になります。GTX 1650はPCIe 3.0 x16を使う16レーン構成です。
TechSpotの同一PCによる測定では、PCIe 3.0環境の12ゲーム平均でGTX 1650がRX 6400を20%上回りました。RX 6400はVRAMが4GBに収まらない場面で、狭いx4リンクを通じたデータ交換が増えます。F1 2021やDoom Eternalのように影響が大きい例もありました。
PCIe 4.0対応PCなら、この帯域差は小さくなり、消費電力と物理サイズでRX 6400を選べます。PCIe 3.0のみのPCでは、同価格・同サイズのGTX 1650があればゲーム性能を保ちやすい構成です。詳しい帯域と確認方法はRX 6400のPCIe 3.0検証で解説しています。
消費電力と補助電源
RX 6400のTypical Board Powerは53Wで、AMDは追加電源端子を「PCIe Powered」としています。市販品も補助電源なしが基本です。PCIeスロットの給電だけで動くため、電源ユニットに6ピンや8ピンがない省スペースPCへ導入できます。
GTX 1650は75W級ですが、補助電源の有無は製品ごとに違います。たとえばMSI GeForce GTX 1650 D6 AERO ITX OCは75W、推奨電源300Wで、補助電源を使わない仕様です。同名に近い別リビジョンには6ピン搭載品もあるため、商品写真だけでなく型番別仕様を照合します。
電源容量の差は小さいものの、RX 6400は22W低く、冷却と既製PCの電力枠を合わせやすいカードです。GTX 1650は補助電源なしの製品を選べば似た条件で使えますが、中古市場ではGDDR5/GDDR6と端子仕様が混在しています。
Low Profileとカード寸法
RX 6400には1スロット厚のLow Profile製品があります。ASRock RX6400 LP 4Gは150×68.9×18mm、PowerColor製は155×69×18mmです。スリム型の既製PCで、Low Profileブラケットと隣接スロットの両方が制約になる場合に適しています。
GTX 1650にもLow Profile品がありますが、多くは2スロット厚の冷却器を使います。フルハイトのITXモデルも短いだけで高さがあるため、Low Profileケースには入りません。GPU名で選ばず、カード長、高さ、厚さ、ブラケット、映像端子の位置を型番単位で確認します。
RX 6400の標準的な映像出力はHDMIとDisplayPortが各1基で、最大2画面です。GTX 1650のMSI AERO ITXはDisplayPort、HDMI、DVI-Dの3基を備えます。複数モニターやDVI接続が必要なら、端子数も比較軸になります。
動画編集と配信の差
動画用途ではGTX 1650が明確に有利です。RX 6400のAMD公式仕様はH.264とH.265/HEVCのデコードに対応する一方、両形式のエンコードを「No」としています。AV1デコードにも対応しません。書き出しや配信はCPUのエンコーダー、内蔵GPU、別GPUへ任せる構成になります。
GTX 1650はNVENCを利用でき、対応する編集・配信ソフトでH.264やHEVCの処理をGPUへ任せられます。NVIDIAのTuring白書は、Turing世代の動画エンコード・デコード機能を説明しています。GTX 1650には複数のGPUチップ版が存在するため、対応コーデックとNVENC世代を重視する場合は製品IDまで確認します。
ゲームを録画せず、映像出力と軽い編集だけならRX 6400も使えます。日常的に配信、画面録画、動画書き出しをするPCでは、GTX 1650か、より新しいエンコーダーを備えたGPUの方が作業の役割分担を明確にできます。
用途別の選び方
RX 6400が向く条件は次の通りです。
- PCIe 4.0対応のスリムPCを更新する
- 1スロットLow Profileが必要
- 補助電源ケーブルがなく、消費電力を53W級に抑えたい
- フルHDの軽いゲームと映像出力が中心
GTX 1650が向く条件はこちらです。
- PCIe 3.0の旧型PCでゲーム性能を保ちたい
- NVENCを使って録画・配信・動画書き出しを行う
- DVIを含む3画面出力が必要
- 状態の良い補助電源なしモデルを安く入手できる
フルサイズ、補助電源、電源容量に余裕があるPCなら、両製品より上の8GB級GPUも候補になります。RX 6400とGTX 1650は、性能単価より既製PCの物理・電力制約を解決するための選択肢です。
まとめ
PCIe 4.0、1スロットLow Profile、53Wを活かすならRX 6400が合います。PCIe 3.0や動画エンコードを重視するならGTX 1650が優位です。フルHDゲームの平均性能が近くても、接続帯域と動画機能が使い勝手を分けます。
RX 6400へ絞った方は、補助電源なしで使う条件とLow Profileの寸法一覧を照合してください。中古品を比較する場合は2026年の確認項目で付属ブラケットや端子状態まで確認できます。
