Radeon RX 6750 XTとGeForce RTX 3070は、どちらもWQHDゲームを狙う旧世代GPUです。中古価格帯も近く、通常描画のfpsだけを見ると迷いやすい組み合わせでしょう。選択の軸は明確で、12GB VRAMとラスタライズ性能を優先するならRX 6750 XT、レイトレーシングとDLSS、CUDA対応アプリを重視するならRTX 3070が向きます。
両製品は設計思想が違うため、CUDAコアとストリームプロセッサーの個数を直接比べても性能差は分かりません。この記事では共通条件で測ったゲーム結果、メモリ容量、電力、機能を順に比較します。最後まで読めば、遊ぶゲームと利用ソフトに合う側を選べます。
主要スペックの違い
AMD公式仕様とNVIDIA公式仕様を同じ項目で並べます。
| 項目 | RX 6750 XT | RTX 3070 |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | RDNA 2 | Ampere |
| 発売時期 | 2022年5月 | 2020年10月 |
| 演算器 | 2560 SP | 5888 CUDAコア |
| ブーストクロック | 最大2600MHz | 1.73GHz |
| VRAM | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
| メモリバス幅 | 192bit | 256bit |
| メモリ帯域幅 | 最大432GB/s | 448GB/s |
| ボード電力 | 250W | 220W |
| メーカー推奨電源 | 650W | 650W |
| 主なアップスケーラー | FSR | DLSS |
RX 6750 XTはVRAM容量で4GB多く、RTX 3070はメモリバス幅と帯域、ボード電力で優位です。RX 6750 XTには96MBのInfinity Cacheがあり、外部メモリ帯域を補います。RTX 3070は第2世代RTコアと第3世代Tensorコアを搭載し、レイトレーシングとDLSSに専用回路を使える構成です。
WQHDゲーム性能の比較
2022年にTom’s Hardwareが実施したWQHDの8ゲーム比較では、工場出荷時OCのASUS RX 6750 XTが平均80fpsを超え、リファレンス仕様のRTX 3070に対して1.7%低い結果でした。差はほぼ同じクラスに収まっています。RX 6750 XTが4タイトル、RTX 3070が残る4タイトルで上回り、ゲームエンジンによって順位が入れ替わりました。
このテストは発売当時のドライバーとゲームを用いた結果です。2026年の個別タイトルへ同じ比率を当てはめることはできませんが、通常描画では両者が近い性能帯だと判断できます。比較するときは、候補ゲームの同一バージョン、同一CPU、同一画質で測った最新ベンチマークを選びましょう。
RX 6750 XTは12GB VRAMが効く場面を作りやすく、高解像度テクスチャや大型MODを使うWQHD環境に余裕があります。RTX 3070の8GBでVRAM使用量が上限へ達すると、平均fpsが高くても移動時に読み込みが入り、最低fpsやフレームタイムが悪化します。8GB以内に収まるゲームなら、容量差だけで勝敗は決まりません。
レイトレーシングとアップスケーリング
レイトレーシングはRTX 3070の得意分野です。同じTom’s HardwareのWQHD・6ゲームRTテストでは、RTX 3070がRX 6750 XTを平均33%上回りました。RX 6750 XTは平均23fps、RTX 3070は34fpsという結果で、どちらもアップスケーリングなしでは負荷が重い条件でした。
RTX 3070はDLSS Super Resolutionを利用できます。対応ゲームではTensorコアを使って低い内部解像度から描画し、RT負荷を補いやすい点が強みです。RX 6750 XTはFSRを利用でき、ゲーム側の対応バージョンに応じてアップスケーリングやフレーム生成を選べます。FSRは幅広いGPUで動く一方、利用できる機能と画質モードはゲームごとに異なります。
RTを常用するなら、RTX 3070でDLSS Qualityを起点に調整する方が扱いやすいでしょう。RTを切って高画質テクスチャと通常描画を優先するなら、RX 6750 XTの12GBが魅力です。両者の差は「RadeonかGeForceか」というブランド名より、実際に遊ぶタイトルのRT実装とアップスケーラー対応で決まります。
消費電力と電源条件
公式のボード電力はRX 6750 XTが250W、RTX 3070が220Wです。30Wの差があるため、同じゲーム性能ならRTX 3070の方が電力を抑えやすい構成です。両メーカーとも推奨システム電源は650Wですが、実際の製品ではOC設定と補助電源端子が異なります。
RX 6750 XTのAMD基準は8ピン+6ピンです。市販カードには8ピン×2を採用するモデルが多く、ASUSなど一部のメーカーは750Wを推奨しています。RTX 3070 Founders Editionと各社カードでも端子構成が変わるため、中古購入では写真と型番から確認します。電源容量に加え、必要なPCIe電源ケーブルを独立して配線できるかが組み込みのポイントです。
アイドル時や動画再生時の電力はボード電力の数字とは別です。年間電気代を比べる場合は、実際に使うゲームの平均消費電力とプレイ時間を掛けて考えます。最大値30Wの差だけで電気代を大きく見積もるより、負荷時の実測を確認する方が正確です。
動画編集と配信の違い
RX 6750 XTはH.264とH.265/HEVCのハードウェアエンコード・デコード、AV1デコードに対応します。12GB VRAMは4K素材、カラー処理、GPUエフェクトを重ねる作業で余白になります。公式仕様にAV1 Encodeの記載はなく、AV1をGPUで書き出す目的には合いません。
RTX 3070はNVENCとNVIDIA Studioのソフトウェア環境を利用できます。Adobe系アプリやCUDAレンダラーなど、処理経路がCUDAを前提にしている場合はRTX 3070が候補です。編集ソフトがOpenCLやDirectX、H.264/HEVCのハードウェア処理を活用するならRX 6750 XTも使えます。ソフト名と書き出すコーデックを先に決めると、ブランド比較を具体的な機能比較へ変えられます。
2026年の価格比較
両モデルは新品の流通が細く、中古が主な選択肢です。RX 6750 XTは2026年9月7日時点の国内集計で中古3万8000円から、専門店在庫は4万円台前半が確認できました。価格はカード状態と保証で変わるため、最安の1件だけで相場を決めず、同日に複数店舗を比べます。
RTX 3070も同じ日の中古価格を確認し、差額を機能へ置き換えましょう。価格が近いなら、12GBと通常描画を取るか、DLSS・RT・CUDAを取るかで選べます。RX 6750 XTが大幅に安ければWQHDラスタライズ用として魅力が増し、RTX 3070が安ければ8GBで足りるゲームや対応アプリで選びやすくなります。
記事画像はAMD公式製品ページから取得したRX 6750 XTの公式素材です。
用途別の選択基準
RX 6750 XTが向くのは、WQHDの通常描画を中心に遊び、高解像度テクスチャやMODへ12GBを使いたい人です。RTX 3070は、レイトレーシング、DLSS、CUDA対応の制作ソフト、NVENCを優先する人に向きます。消費電力もRTX 3070が公式値で30W低く、電力効率を比べる材料になります。
中古カードでは性能差と同じくらい、保証、温度、ファン、端子、付属品が購入後の満足度を左右します。候補を絞ったら「RX 6750 XT中古の注意点」で確認手順を進めてください。新品も含めて選ぶ方は、RDNA 4世代の「RX 6750 XTとRX 9060 XTを比較」へ進むと、AV1エンコードや消費電力を含む世代差まで判断できます。
