AV1素材を扱う動画編集用GPUとしてArc Pro B65を検討するなら、再生と書き出しの両方を見ます。IntelはB65のAV1ハードウェアエンコード・デコードと2基のメディアエンジンを公表しています。仕様から分かる範囲と、編集ソフトの設定で決まる範囲を整理します。

対応する動画コーデック

IntelのB65製品仕様には、H.264、H.265/HEVC、AV1のハードウェアエンコードとデコードが記載されています。デコードは圧縮された素材を再生・編集できる映像へ戻す処理、エンコードは完成した映像を配布用ファイルへ圧縮する処理です。

処理 B65の公称対応 編集時に関係する場面
H.264 エンコード・デコード 一般的な撮影素材の再生、書き出し
H.265/HEVC エンコード・デコード 高圧縮素材や納品用ファイル
AV1 エンコード・デコード AV1素材の読込、AV1での書き出し

Intelの比較資料でも、B65はAVC、HEVC、AV1トランスコード対応と記されています。ここでいう対応はGPUに専用の動画処理機能があるという意味です。手元の編集ソフトがどの形式と設定でその機能を利用するかは、ソフト側の実装と版に依存します。

2基のメディアエンジン

Intelの仕様表はB65に「Multi-Format Codec Engines 2」と記載しています。動画のデコードとエンコードを担う専用回路が2基ある構成です。複数の映像ストリームやトランスコードの処理能力を考える際の材料になります。

一方、2基という数字だけで「同時に4Kを何本再生できる」とは決められません。解像度、フレームレート、ビット深度、色形式、コーデックのプロファイル、編集ソフトの処理方法で負荷が変わるためです。導入前の比較では、使うカメラ素材の形式と編集ソフトのGPUデコード対応を組み合わせて判断します。

タイムライン再生

撮影素材のコーデックがB65のハードウェアデコード経路を使えると、CPUだけに頼る場合より再生処理の分担ができます。複数素材を重ね、色補正やノイズ除去も加える編集では、エフェクト処理やストレージ速度が別の制限になります。再生が重い原因を「GPUのAV1対応の有無」だけに絞らず、素材とエフェクトを分けて評価します。

書き出し

AV1で納品・配信用に書き出す場合、編集ソフトのエクスポート画面でIntelのハードウェアエンコードが選べるかが出発点です。AV1に対応したコンテナ、ビット深度、画質設定の選択肢もソフトによって異なります。画質と時間を比べるときは、同じ解像度とビットレート、同じ素材を使います。

32GB VRAMの役割

B65は32GB GDDR6を積みます。高解像度素材を複数重ねたり、GPUを使う効果を数多く適用したりする編集で、素材と中間処理のための余裕を作れます。AV1変換の速度は主に動画専用回路と編集ソフトの対応に左右されるため、VRAM容量と分けて評価します。

IntelのBシリーズ比較表では、B60もAV1トランスコードに対応し、VRAMは24GBです。制作プロジェクトが24GB内に収まるなら、B60も比較対象になります。B70は32GBでより多いXeコアを持ちますが、どのエフェクトに効くかは編集ソフトでの実測を見ます。

出力端子とカード選び

動画編集用の複数画面環境では、実際のボードの映像端子も必要です。ASRock B65 CreatorはDisplayPort 2.1を4基備え、最大4画面を案内しています。接続するモニターがHDMIのみなら、変換アダプターや別の接続方法まで含めて構成を決めます。IntelのGPU共通ページにある出力機能と、ASRockカードに実装された端子を混同しないのが要点です。

編集ソフトで確認する三つの項目

編集ソフトでは次の三点を確認します。

  • 素材を読み込む際にハードウェアデコードが有効か。
  • タイムラインで重い場面は、素材のデコードとエフェクト処理のどちらが負荷になっているか。
  • AV1で書き出す際にIntelのハードウェアエンコードを選べるか。

入力と出力を別々に設定するソフトがあります。AV1素材の再生経路とAV1書き出し経路をそれぞれ確かめると、B65の動画専用回路をどの工程で使えるかが分かります。複数の素材を重ねる場合は、タイムラインの最も重い場面をテストに使います。

比較に使う短いテスト素材を一つ決め、同じ効果と解像度で再生と書き出しを記録すると、GPU専用回路の効果が分かります。素材の保存先が遅い場合はストレージが制限になり、B65の32GB VRAMを備えていても再生速度は上がりません。素材を高速な作業用ストレージに置く条件もそろえます。

まとめ

Arc Pro B65はAV1、HEVC、H.264のハードウェアエンコード・デコードに対応し、2基のメディアエンジンと32GB VRAMを備えます。AV1素材の再生とAV1での書き出しを考える人は、編集ソフトがIntelの動画処理機能を利用できる設定を確認しましょう。GPU全体の構成はスペック解説にまとめています。