Radeon Pro W7500はBlenderのCyclesでGPUレンダリングに使えます。BlenderはAMD GPU向けのHIPバックエンドを用意し、対応リストにRadeon Pro W7000シリーズを含めています。選ぶ際の焦点は、HIPが使えるかに加え、8GBのGPUメモリとレンダリング速度が自分のシーンに合うかです。
Blender公式のHIP対応条件
BlenderのGPUレンダリングマニュアルは、WindowsとLinuxでHIPを使用できると案内しています。W7500はRDNA 3のRadeon Pro W7000シリーズです。マニュアルに示された最低ドライバーはWindowsでRadeon PRO Software 24.Q4、LinuxでRadeon Software 24.30またはROCm HIP Runtime 6.3です。使用するBlenderの版とドライバーの組み合わせが、GPUを選択画面に表示させる前提になります。
手順はBlenderの編集メニューからプリファレンスを開き、システムのCyclesレンダーデバイスでHIPを選んでW7500を有効にします。続いてシーンのレンダープロパティでデバイスをGPU Computeに設定します。前者だけではCPUレンダリングのままになるため、2段階を揃えてCyclesを動かします。設定後は同じシーンをCPUとGPUで1回ずつ描画し、所要時間を比較すると作業条件に即した性能が分かります。
W7500のレンダリング実測
Puget SystemsのBlender 3.6試験では、GPUレンダリングのスコアはW7500が863、W7600が1188、RTX A2000が2139でした。数値は同一テスト内で高いほど速い指標です。W7600はW7500の約1.38倍、RTX A2000は約2.48倍でした。
| GPU | Blender 3.6試験のスコア | W7500比 |
|---|---|---|
| Radeon Pro W7500 | 863 | 1.00 |
| Radeon Pro W7600 | 1188 | 約1.38 |
| RTX A2000 | 2139 | 約2.48 |
この試験はBlender 3.6時点の結果です。Puget Systemsは、当時のベンチマークではAMDのRTコアを活用するHIP RTが反映されていないと説明しています。現在のBlenderとドライバーでの速度をこの倍率に固定することはできませんが、当時の同条件でW7500がどの位置にいたかは示せます。
同じPuget Systemsの試験で、NVIDIA T1000のスコアは491でした。W7500の863はT1000より高く、RTX A2000の2139より低い結果です。軽い設計可視化を本業の合間に処理する用途と、毎日長時間レンダリングする用途では、この差の受け止め方が変わります。Puget SystemsはW7500を軽い制作向けのカードと評価しており、レンダリング主体なら処理能力と8GBを同時に見直す必要があります。
HIP RTとレイトレーシング
AMDはRadeon Pro W7000シリーズのHIP RT対応を案内しています。HIP RTは対応するCyclesのレイトレーシング処理をGPUの機能で加速する仕組みです。通常のHIPレンダリングとHIP RT有効時では、シーン構成によって改善幅が変わります。AMDが掲載する「最大27%向上」はRX 7900 XTXでBlender 3.5.1のHIPと3.6ベータ版のHIP RTを比べた同社の検証です。W7500固有の改善率ではありません。
W7500には28基のレイアクセラレーターがあります。Blender 5.1のリリースノートによると、AMD GPUのHIP RTは初期設定で有効です。HIPを選んだ環境で同じシーンの描画時間を測れば、W7500の実際の速度を把握できます。
8GBで収まるシーン
AMDの仕様では、W7500のGPUメモリは8GB GDDR6です。Cyclesはジオメトリ、テクスチャ、BVH、作業バッファーをGPUメモリへ置きます。高解像度テクスチャや細かいメッシュを増やすほど、8GBの枠に近づきます。Blenderのマニュアルは、GPUメモリを使い切るとシステムメモリを使う経路があることも説明しています。その場合、GPU内だけで完結する描画より時間がかかります。
プロダクトの静止画、比較的軽い建築パース、CADの簡単な可視化など、シーンのGPUメモリ使用量が8GB以内に収まる作業ならW7500でCyclesを使えます。多数の高精細素材や大規模なアニメーション制作が中心なら、レンダリング速度だけでなくVRAM容量の大きいGPUが作業の余裕になります。
まとめ
Radeon Pro W7500はBlenderのHIP対応GPUで、CyclesのGPUレンダリングを実行できます。Blender 3.6の独立した比較ではW7600やRTX A2000より遅く、GPUメモリは8GBです。軽い制作とCADの補助的なレンダリングに向き、描画が主な仕事なら上位GPUの性能と容量を比較してください。W7500での制作PCを組むなら電源と補助電源の条件も役立ちます。
