Radeon Pro W7500とRadeon Pro W7600は、どちらもRDNA 3世代の8GB業務用GPUです。同じ1スロット形状でも、電力と処理能力はかなり違います。W7500は70W・補助電源なしの導入しやすさ、W7600は130Wと高い演算性能が軸。実際のCADや動画編集でどれほど差が出るかまで比べると、選び方が明確になります。

W7500とW7600の公式仕様

AMDのW7500仕様とW7600仕様を同じ項目で並べました。

項目 W7500 W7600
Compute Unit 28基 32基
ストリームプロセッサ 1792基 2048基
FP32理論ピーク 12.2 TFLOPS 20 TFLOPS
GPUメモリ 8GB GDDR6 8GB GDDR6
ボード電力 70W 130W
補助電源 なし 6ピン×1
AMDの最小推奨電源 450W 500W
カード長 216mm 241mm
厚さ・高さ 1スロット・フルハイト 1スロット・フルハイト
映像出力 DP 2.1×4 DP 2.1×4

W7600は演算器が多く、理論ピークも高い一方、両方ともGPUメモリは8GBです。大きなデータセットが8GBに収まらない仕事では、W7600へ上げても容量の壁は変わりません。性能を増やしたいのか、メモリ容量を増やしたいのかで次に選ぶカードは異なります。

SOLIDWORKSでの実測差

DEVELOP3Dのレビューは、1万3000部品の望遠鏡モデルを4K・RealView有効のSOLIDWORKSで操作しました。測定値はW7500が29fps、W7600が52fpsです。同じモデルと表示条件で23fps差が出ました。

同レビューは、このモデルの操作では両者の体感差を識別しにくかったとも記しています。W7600の計測値は高いものの、この検証で明確な操作性の差は示されませんでした。より重いGPU効果や別のCADモデルを使うなら性能差が役立つ余地があり、軽い設計表示ではW7500の電力と導入条件に利点があります。

動画編集とGPUレンダリング

Puget Systemsの同一PCでの試験では、DaVinci Resolveの総合スコアがW7500で1688、W7600で1876.5でした。GPU効果のスコアは45と63です。後者の差が大きく、OpenFXやノイズ除去を増やす編集ではW7600を選ぶ理由になります。

Blender 3.6のGPUレンダリングスコアはW7500が863、W7600が1188でした。どちらも同じレビュー環境の値です。この古いベンチマークは当時のAMDのHIP RT機能を十分に反映しないため、現在の全Blender構成の速度を表す数値ではありません。相対比較としてはW7600の演算性能の余裕が現れています。レンダリングが主業務なら、8GBの容量とほかの大容量GPUも同時に比べたいところです。

Puget SystemsのPremiere Pro測定でも、総合スコアはW7500が446.33、W7600が530でした。GPU効果のスコアは18.73と26.07です。DaVinci Resolveと同じく、総合より効果処理で差が広がる傾向があります。短いH.264動画の編集だけならW7500の導入しやすさが効き、GPU効果を何層も重ねる作業ではW7600の処理能力に投資する意味が増します。

両製品はAV1エンコード・デコード、4基のDisplayPort 2.1、PCIe 4.0 x8という基本機能を共有します。したがって、AV1書き出し機能や4画面出力を得るだけなら、W7600へ上げる理由にはなりません。処理性能の差と、70Wから130Wへ増える電力・6ピン補助電源を一緒に評価するのが選択の中心です。DEVELOP3Dの望遠鏡モデルはW7500でGPUメモリ約7.6GBを使いました。W7600も8GBなので、このモデルに別のGPU処理を追加する運用では容量の余地は両者とも小さくなります。

電力と搭載しやすさ

W7500はPCIeスロットから70Wを受け、追加の電源ケーブルを使いません。W7600はボード電力130W、6ピン補助電源が必要です。既存ワークステーションに空き電源コネクタがない場合、W7500ならカードの増設だけで済む構成があります。AMDの推奨電源容量もW7500が450W、W7600が500Wと異なります。

ケース内でもW7500は25mm短く、前面のファンやドライブベイと干渉しにくくなります。両方ともフルハイトなので、ロープロファイル専用ケースには合いません。多画面出力はどちらもDisplayPort 2.1×4です。4画面が目的で、重いGPU処理をしないならW7500で同じ端子数を得られます。

まとめ

70W・補助電源なしを優先する小型タワーや軽めのCAD・編集にはW7500、大きなCADモデルやGPU効果の多い編集にはW7600が合います。両者とも8GBなので、レンダリング素材が8GBを超える場合は容量の大きいカードが必要です。W7500へ絞るならサイズの記事と電源の記事で搭載条件を確認できます。