Radeon PRO W7700では、BlenderのCyclesレンダリングにAMDのHIPバックエンドを使えます。16GBのGPUメモリは高解像度テクスチャや複雑なシーンで役立ちます。速度を判断する際は、Eeveeの画面表示、CyclesのGPUレンダリング、HIP RTを使うレイトレーシングを分けて見ます。
Blenderで使うGPU処理
Blenderの公式マニュアルはCyclesのGPUレンダリング方式としてHIPを案内しています。W7700を使う場合、Blenderの設定でCyclesの演算デバイスにHIPを選び、シーンのレンダリングデバイスをGPU Computeへ切り替えます。画面のEevee表示を速くしたい話と、最終画像のCyclesレンダリング時間を短くしたい話では、評価対象が異なります。
HIP RTはAMD GPUのレイトレーシング機能をCyclesで活用するための経路です。HIPとHIP RTでは内部の処理が異なり、同じW7700でもシーンごとの得意・不得意が変わります。CPUレンダリングのスコア、CUDA、OptiX、HIPのスコアを無条件に混ぜると、GPUそのものの比較になりません。
W7700のレンダリング実測
Mobile01のW7700実機レビューでは、Blender BenchmarkのMonster、Junkshop、Classroomを使い、合計2252.16点を報告しています。スコアはBlenderの版、ドライバー、演算方式、シーンによって変わるため、異なる公開データの数値を単純な順位表にはしません。導入予定のBlender版と演算方式に近い測定を採用する方が正確です。
AMDの製品仕様はW7700の48 CU、48基のレイアクセラレータ、16GB GDDR6を示します。28.3 TFLOPSというFP32理論値はCyclesの完成時間そのものではありません。レンダリング時間にはシェーダー、テクスチャ、ジオメトリ、GPUメモリの使用量が重なって効きます。
16GBメモリとシーン規模
GPUレンダリングでは、シーンの形状とテクスチャをGPUメモリに置きます。Blenderのマニュアルは、GPUメモリが一杯になったときにシステムメモリを利用する動作と、その場合の性能低下を説明しています。W7700の16GBは、8GB級カードより大きいシーンをGPU内へ置きやすい容量です。
具体的には複数の4Kテクスチャ、高密度のジオメトリ、パーティクルを重ねる案件で差が出ます。Blenderの「レンダー」画面だけでなく、同時に開く画像編集ソフトや複数モニターの表示もGPUメモリを使います。実際の案件で必要な容量は、シーンを開いた状態の使用量とレンダリング中の最大値から評価します。仮にデータが16GBに収まらなければ、テクスチャの解像度やインスタンス化を見直す余地があります。
NVIDIA製GPUとの選び分け
BlenderはNVIDIA向けCUDA・OptiXも提供します。Blender公式のGPU解説で各バックエンドを確認でき、同じシーンでも演算方式ごとに結果が異なります。CUDAを必須とする外部アドオンや別の制作ソフトがある環境では、GPUの選択がアプリの対応範囲で決まります。Blender中心でHIPを使い、ECC付き16GBと業務用DisplayPortを求めるならW7700が候補です。
レイトレーシング中心のワークフローまで含めた差は、アプリとシーンを固定した比較で確認します。CADや可視化ソフトも併用する場合、CADの記事にあるメモリ使用例が参考になります。
制作シーンと処理の切り分け
Blenderの画面作業では、モデリング中の応答と最終画像の書き出しが別の負荷になります。画面操作が主な作業ならEeveeやビューポートの反応を、完成画像を大量に作るならCyclesの所要時間を優先して評価します。Mobile01の2252.16点は後者の公開テストで、前者の操作感を点数から読み取る指標ではありません。
Cyclesの処理では、画像の解像度、サンプル数、シーン内の素材と形状が仕事量を決めます。16GBのW7700に収まる大きさなら、高解像度の素材を保持したままレンダリングできます。メモリ使用量が増えた場合は、同じオブジェクトの複製にインスタンスを使い、見えない部分のテクスチャを抑えると使用量を減らせます。W7700の容量は制作データを保持するための余裕として使います。
作業環境のまとめ
W7700でBlenderを使う要点は、CyclesでHIPを選ぶこと、レンダリングに必要なGPUメモリを16GBへ収めること、測定方式をそろえて速度を見ることです。Mobile01の数値はW7700のCyclesレンダリングに関する公開実測です。制作で使う他のGPUアプリの対応も確定させてから導入すると、カードの能力を仕事につなげられます。
