Arc Pro B60の電源要件を調べる際は、GPUの公称TBPと、購入するカードの補助電源端子を分けて見ます。Intelは標準TBP 200Wを示しますが、端子はパートナー製品によって決まります。実売の2製品で仕様を確認し、システム全体の電源容量へつなげます。

200Wの意味

Intelの製品ページはArc Pro B60のTBPを200Wとし、低電力版について120~200Wの範囲を示しています。TBPはカード側の設計電力を表す値で、PC全体のコンセント消費電力ではありません。CPU、マザーボード、メモリ、ストレージ、ファンの電力はこの200Wに含まれません。実際のゲームや推論が常に200Wで動くという意味でもありません。

Intelのデータシートは補助電源端子がパートナーによって異なると明記します。「Arc Pro B60なら8ピン1本」と一括して説明するより、購入する型番の仕様を使う方が正確です。たとえばASRock Creator 24GBは8ピン1口、SPARKLE B60 24GB Blowerも8ピン1口です。SPARKLEの同じ資料にある48GB Dual-GPUボードは12V-2x6端子なので、24GB単体版と取り違えると配線が合いません。

電源容量の計算例

電源ユニットの容量はB60の200Wだけで決まりません。仮にCPUの高負荷時を150W、マザーボードとその他を75Wと置く構成なら、GPU 200Wを足した設計上の合計は425Wです。650W電源なら単純な差は225Wになります。この150Wと75Wは例示した仮定であり、特定CPUや完成PCの実測ではありません。選択したCPUの電力上限と搭載機器の構成で式を置き換えます。

2枚のB60を搭載すると、標準TBPの合計だけで400W。上の仮定ならシステム側を足して625Wです。850W電源を仮定すると225Wの差が残ります。電源の定格W数だけでは足りず、8ピンの補助電源を2本取り出せること、2枚のカードへ無理のないケーブル経路で届くことも構成条件になります。実際のカードが低電力版か標準版かで計算に使う値を変えます。

カード別の接続位置

ASRock Creatorの外形は271×112×39mmで、メーカーはケーブル挿入のためカード長に追加30mmを勧めています。この注記は、ケースの対応カード長が271mmちょうどなら物理的に電源ケーブルを付けにくいことを示します。SPARKLE Blowerは289×120×42mmです。コネクタの位置とケース内の障害物まで含めて、必要なケーブル長と曲げ空間が変わります。

電源ユニットに付属するケーブルは、そのユニットの製品仕様に適合するものを使います。B60のボード側が8ピンでも、電源ユニット側の差し込み形状やピン配列はメーカーごとに統一されていません。完成済みPCに増設する場合は、電源の型番から付属PCIe電源ケーブルと未使用の口数を確認した結果を構成に反映します。

8ピン端子とカードの識別

SPARKLEのデータシートは24GBの単体カードを「Single-GPU」、48GBのボードを「Dual-GPU」と分けています。前者は200WとPCIe 8ピン1口、後者は300Wと12V-2x6の1口です。同じB60というGPUが使われても、購入するボードの端子は違います。通販ページで「B60 48GB」と表示される製品を、単体24GBモデル2枚の電源条件で扱うと配線計画が変わってしまいます。

ASRock Creatorも8ピン1口で、Intelが示す標準200WのB60を載せています。電源ユニットの定格容量はGPUとCPUなどの負荷を合計して決めます。CPUを高性能な製品へ変えるとGPUが同じでもシステムの必要容量が増えます。ストレージや冷却ファンの追加も合計電力へ入ります。カード側の端子数と電源側の総容量は、異なる二つの条件です。

供給余力の見方

電源容量に余力を設ける理由は、想定するCPUとGPUの高負荷が重なる作業でも、ユニットの定格内で運用するためです。前述の例で650Wを使うなら、仮定した425Wとの差は225Wです。CPUが小電力なら別の合計となり、2枚挿しなら標準TBPだけでさらに200W増えます。

電源ユニットの製品資料には、総容量のほかにPCIe補助電源ケーブルの本数が記載されています。B60を2枚使う計画では、口数が足りるかをケーブルの仕様で確定できます。モジュラー式電源の本体側端子は製品ごとに配列が異なるため、交換ケーブルの互換性は選択した電源ユニットの品番に依存します。

まとめ

標準B60は200W、実売のASRock CreatorとSPARKLE Blowerは8ピン1口です。システム電源はCPUなどを加えた負荷と、補助電源ケーブルの本数で決めます。2枚構成ではGPU側だけで標準400Wとなるため、電源とケースを同時に設計すると無駄がありません。寸法の比較はケース記事で詳しく整理しています。