32GB版と48GB版の結論
同じ「Radeon PRO W7800」でも、32GB版と48GB版はメモリ容量に加えて内部のメモリ構成が異なります。AMDの32GB版仕様と48GB版仕様を照合すると、後者はメモリバスと帯域幅も広くなっています。巨大なデータを一枚のGPUへ載せる作業が中心なら48GB版、32GBに収まる設計・編集が中心なら32GB版が比較の出発点です。
| 項目 | W7800 32GB | W7800 48GB |
|---|---|---|
| GPUメモリ | 32GB | 48GB |
| メモリバス | 256bit | 384bit |
| 最大帯域幅 | 576GB/s | 864GB/s |
| Infinity Cache | 64MB | 96MB |
| 演算ユニット | 70 CU | 70 CU |
| FP32理論ピーク | 45.2TFLOPS | 45.2TFLOPS |
| ボード電力 | 260W | 260W |
メモリ容量と最大帯域幅はいずれも1.5倍です。一方、AMDが公表する演算ユニット数とFP32理論ピークは同じ。アプリの処理速度は、演算処理とメモリアクセスの比率によって変わります。メモリ読み書きの比重が大きい作業ほど、48GB版の広い帯域が効く余地があります。
48GBが効く作業
VRAMの不足は、GPUで処理したい3Dシーン、テクスチャ、AIモデルを丸ごと置けない状態として現れます。32GB版の容量が足りない案件なら、48GB版への変更で一枚に収まる対象が増えます。複数GPUを使う場合でも、アプリがメモリを自動で一つの共有領域として扱うわけではありません。一枚当たり48GBが必要なら、一枚の48GB版を基準に考えるのが自然です。
メモリの空き容量が多いだけでは処理速度は上がりません。例えば同じシーンが20GBに収まり、処理が演算ユニットやソフト側に律速されているなら、48GB版の増設分は使われません。一方、読み書きが支配的な作業では384bitバスと864GB/sの理論帯域が役立つ余地があります。その差を定量化した同一条件の実測が必要な用途では、購入前に利用アプリ固有の比較結果まで探すべきです。
32GB版の強み
32GB版でもECC対応GDDR6を搭載し、70 CUと45.2TFLOPSの公式値を備えます。AMDはDisplayPort 2.1を3基と強化版Mini DisplayPort 2.1を1基、ボード電力260W、補助電源8ピン2基を公表しています。48GB版もAMDのリファレンス仕様ではこれらの値が共通です。筐体や電源の条件が同じなら、比較の中心を容量と価格へ絞れます。
2023年のPuget Systemsレビューにある「W7800」は発売当初の32GB版です。この記事のBlenderやPremiere Proの実測対象は32GB版です。48GB版の速度については、同じCU数と広いメモリ帯域という公式値が判断材料です。32GB版の実測はそのまま48GB版の測定値にはなりません。
帯域と容量を分けた判断
二つの製品でメモリ帯域が変わる理由は、AMDの仕様にあるメモリバス幅の差です。32GB版は256bitと576GB/s、48GB版は384bitと864GB/s。どちらもGDDR6ですが、48GB版はデータの通り道も広くなっています。連続して大きなデータを読み書きする処理では、この差が効く余地があります。とはいえ、ボトルネックがGPUの演算やCPU側の前処理なら、帯域が1.5倍でもアプリ全体の処理時間は同じ倍率で縮みません。
業務データのサイズが分かっているなら、最大使用量を32GBと比べるのが第一段階です。作業中に32GB付近まで達する案件があるなら、48GB版の容量を投資対象にできます。十分な空きがある案件では、両者の差をメモリ帯域の実測で評価します。この順番なら「48GBの方が数字が大きい」という理由だけの過剰購入を避けられます。
48GB版ではInfinity Cacheも64MBから96MBへ増えています。これはGPU内部で頻繁に使うデータを保持する領域で、外部メモリへのアクセスを減らす役割があります。キャッシュの効き方はアプリのアクセスパターンで変わります。32GB版と48GB版の購入額が大きく違う場合、まず必要容量で候補を絞り、両方に収まる案件ではメモリ帯域とキャッシュの差を参考にします。
製品名と購入時の見分け方
W7800の製品ページでは、容量の表記がモデル識別の手掛かりです。GIGABYTEのW7800 AI TOP 32Gは32GBと256bitを明記しており、同社の48G製品とは区別されています。AMDリファレンスカードとパートナー製カードでは冷却機構、端子構成、寸法に実装差があるため、購入する型番の仕様表が最終的な組み込み条件です。中古品の識別では、製品ラベルと出品写真にある容量の表記が役立ちます。
32GBで足りるかの判断には、現在の案件で観測されるピークVRAM使用量と、次に扱うデータの増加を使います。48GBへ移る理由が「既に32GBを超える案件」なら明快です。32GBのまま速度を高めたい場合は、同容量の新世代R9700との比較も役立ちます。用途がBlender中心なら、容量差に加えてHIPレンダリングの実測記事を参照してください。
