W7800を動画編集に使う価値
Radeon PRO W7800は32GBのECC対応GDDR6を備え、高解像度素材や重いタイムラインを扱う編集PCの候補です。AMDの製品仕様にはAV1のエンコード・デコード1系統、H.264とH.265/HEVCのデコード2系統、エンコード2系統が記載されています。映像エンジンの数だけで編集全体の速度を判断することはできません。Premiere ProとDaVinci Resolve Studioの実測を合わせると、得意な場面が見えてきます。
| 項目 | W7800の公式仕様 |
|---|---|
| GPUメモリ | ECC対応GDDR6 32GB |
| AV1 | エンコード・デコード各1系統 |
| H.264/HEVC | 対応。AMD仕様はエンコード2系統を記載 |
| メモリ帯域幅 | 最大576GB/s |
| ボード電力 | 260W |
AV1対応は、AV1素材をハードウェアで読み、対応アプリからAV1へ書き出す構成の基礎になります。編集ソフトの版と書き出し設定にAV1ハードウェア処理の経路が必要です。コーデック対応と、特定ソフトで任意のプロファイルや品質設定を選べるかは別に評価します。
Premiere Proの実測
Puget Systemsの2023年レビューはPremiere Pro 23.4.0でW7800を測定しました。総合スコアはW7800が651、W6800が547、RTX A5000が681です。同じ条件でのGPUエフェクトスコアはW7800が46.8、RTX A5000が55.4。H.264/HEVCの個別スコアはW7800が98.4、RTX A5000が83.1でした。W7800はコーデック処理で優位を示した一方、GPUエフェクトではA5000に届いていません。
Premiere ProでH.264/HEVC素材を多く扱う編集者にとって、同レビューの個別テストは有用です。ノイズ除去や複数エフェクトを多用する場合は、GPUエフェクトスコアの差も影響します。総合スコアが近くても、作業内容で体感が違う理由です。レビューは2023年のソフトとドライバーで実施されたため、AV1の現行の編集結果をこのスコアから推定することはできません。
DaVinci Resolveの実測
同レビューのDaVinci Resolve Studio 18.1.4では、W7800の総合スコアは2,505で、W6800の2,103から伸びました。RTX A5000は2,553、RTX A6000は2,525です。一方、GPUエフェクトスコアはW7800が122、RTX A5000が145、RTX A6000が163。H.264/HEVCの個別スコアはW7800が116.5、RTX A5000が109でした。ここでもコーデック処理とGPUエフェクトで優劣が入れ替わります。
W7800の32GBは大きな素材とGPU処理用データを保持する余地を与えます。素材を読み出すストレージやCPU側の処理が遅い場合、GPUだけを更新しても総合スコアの伸びは限定されます。Puget Systemsの総合スコアにはGPU以外が効く処理も含まれるため、個別スコアを併記して判断しました。巨大な素材でVRAMが32GBを超える運用なら、W7800 48GB版の容量差も候補になります。
コーデック別に見る導入効果
H.264/HEVCはカメラ素材や納品形式として使われ、RAWはカラー調整で異なる処理負荷を持ちます。Puget SystemsのPremiere ProテストではW7800のH.264/HEVCスコアが98.4で、RED RAWのスコアは34.5でした。H.264/HEVCとRED RAWは評価尺度が異なるため、それぞれ同じ項目内で他GPUと比較します。そこからW7800の得意なコーデック処理が見えてきます。
AV1のハードウェア処理はW7800の公式仕様にあります。Puget Systemsの2023年表にはAV1書き出し速度の測定がないため、AV1を主目的にする導入では、使用する編集ソフトのGPUエンコード対応と出力設定を採用します。仕様と実測の範囲を分けると、製品の価値を過大に見積もらずに済みます。
AMDの仕様では、H.264/HEVCとAV1で搭載するエンコード系統の数が異なります。複数の出力を一度に処理する運用では、このハードウェア構成がソフトウェアの処理経路を考える材料になります。同時ジョブ数と書き出し時間は編集ソフトの実装にも左右されます。Puget Systemsの表はH.264/HEVCの個別実測を示しているため、AV1の運用を考える際は公式仕様と公開実測の範囲を分けて評価します。
編集PCの選び方
H.264/HEVC中心の制作と32GB VRAMを同時に求めるなら、W7800は具体的な実測のある候補です。GPUエフェクトを集中的に使う編集PCなら、Puget Systemsの個別スコアを重視し、競合GPUも比較します。AV1での取り込み・書き出しを計画する場合は、使う編集ソフトのAV1機能とその版を決めて構成を組みます。W7800を搭載するPCには260Wのカード電力と700W以上の推奨PSU、8ピン2基が必要です。電源構成と国内価格の記事を合わせると、編集性能だけでなく導入費も具体化できます。
